10年の歳月をかけて誕生した
完全オリジナルストーリー!
映画『キャラクター』が絶賛公開中🌟
本作は、売れない漫画家・山城圭吾(菅田将暉)が
殺人犯・両角(Fukase)を目撃し、
彼を描いた漫画で大成功するが、思わぬ運命に
翻弄されていくダークエンタテインメント作品。
今回、本作で俳優デビューを果たした
SEKAI NO OWARIのボーカル・ Fukaseさん。
本作のオファーを受けた理由や、
殺人鬼・両角の役づくりの裏話、
Fukaseさんの意外なキャラクター性について、
そして最後に、Fukaseさんの10代の頃についてや
今の10代に伝えたいことなど沢山お話しをしてくれました!
映画「キャラクター」のオファーが来た時は、出演するかとても悩んだとお聞きしました。そこからオファーを受けるまでに、メンバーのSaoriさんの言葉があったり、神木隆之介さんが関わってきているとのことなのですが、Saoriさんからはどんな言葉を受けて出演を決めたのか、神木さんが役作りでどう関わってきたのかを教えてください。
Saoriからはすごく真面目な内容で、「芝居をすることは、表現の部分できっとライブに生かされるだろうから是非やってみるべきだ」っていう意見でしたね。
神木くんもすごく背中を押してくれた1人ではありますね。電話をくれたり、すごく長いLINEを送ってくれました。一番印象的だったのが、「Fukaseくんは“優しい殺人鬼”が似合うよ」って言ってくれたんです。最初は「意味わかんねぇなぁ」って感じで(笑)
でも、監督とプロデューサーに「神木くんが『優しい殺人鬼がいい』って言ってる」って言ったら、2人とも「なるほどね」って。
ー両角像は、“優しい殺人鬼”に寄せていったという感じですか?
最初は声のトーンから優しくしていきました。自分が普段喋っている声をワントーン上げて、言葉の角を丸くして、台本のセリフを喋って録音して。それを聴きながら「両角はこういう人間じゃないか」ってところから入っていきました。
ー最初の役作りの段階では、両角の声はそんなに高くなかったんですか?
自分の普段の喋り声が低いんですよ。当初、コロナ禍より前に監督らとご飯に行った時に、
「Fukaseくんて普段そんなチンピラみたいな話し方なの?(笑)」って聞かれて。
「いやそうなんすよ!俺、下町のチンピラなんすよ。歌ってる時は猫かぶってるんすよ」
とか言ったりして、声に関してはそんなくだりもありましたね(笑)。元々、自分の中で「両角の声は、もう少し丸くしたいな」って思っていたので、本当、一番最初の役作りのきっかけは声だったと思います。
実際に演技のレッスンも含めた役づくりをされたとのことで、役づくりはどんな風にしていきましたか?
凄くたくさんやりましたね。。。でも最終的に、一番“殺人衝動”ってところだけが分からなくて。分からない方がいいんですけど!(笑)両角が持つ、山城に対する“依存的な感情みたいなもの”を自分の中で置き換えていったり、“アートを作っていくために多少の犠牲を払っていく”、そういう感情はある意味で理解できても、“殺人衝動”っていうのだけはとにかく理解できなくて、「どうしよう」ってなりましたね。
菅田くん演じる山城圭吾は漫画家の役なので、実際に漫画家さんの所へ取材に行かれていたみたいなんです。漫画家の役だと、実際に漫画を描いてみたり、練習できるじゃないですか。でも僕の場合、取材が出来ない訳ですよ!出来るかもしれないですけど、“羊たちの沈黙”状態になる訳でかなり怖いですし、「ちょっとやってみてくださいよ!」とかも出来ないので、大変でしたね。取材が出来ない、やったことがある人に話を聞けない、そこだけはとにかく自分で考えていくしかなかったんですよね。
お芝居の先生も、「どうしたもんかね。確かにそうだよね。」ってなり、その時のレッスンはモヤモヤとして終わったんです。そのレッスンの帰り、マネージャーに車で送ってもらっていた時にボーッと考えていて、
「両角の“殺人衝動”が言葉にならないんだったら、絵に描いてみよう」
ちょうどその時は油絵を描いていた時期で、家の一角にアトリエと油絵セットがあったので描いてみたんです。描いていく中で、絵を通じてなんとなく両角の中にある“衝動”みたいなものが体の中に入ってきた感じがしたんですよね。
その絵を「こんな感じで役づくりしてます〜!」って監督とプロデューサーに送ったら、「すごいいいね!いい感じだから映画の中でも使いたい!」って言ってくだって、「やった!」って思ったら、最初このくらい(A3くらいのサイズ)で描いたものを、「2メートル×2メートルに書き直して欲しい」って言われて。それって油絵作家さんが、8ヶ月くらいかけて割と大作ぐらいの勢いで描くものだと思うんですよ!でも撮休の1日しか時間がなくて、「1日で描けってやばいな」って思いながらも描きました(笑)その絵は実際、作品の中では両角の部屋に壁画として使って頂きました。
僕は1日でその絵を描いた訳ですが、“精神と時の部屋”じゃないですけど、
「両角にとってはこれは、きっと1年、それ以上の時間をかけて描いているんだ」
って考えながら、直接壁に絵の具をぶち込みました。
両角ってそもそも漫画大好きキャラとかではないと思うんですよ。でも、両角が殺人で作った作品を、山城がかなり美化した状態で漫画にしてくれて、それを初めて目にした時の気持ち、それ以降の最新話を楽しみにしている1日1日の日々を、両角は絵の具で描いていくうちに、結果としてあの壁画ができたと思っています。
ー両角のような殺人鬼、シリアルキラーみたいな役を演じていく中で、「役に入り込んで日常生活に支障が出た」といったことはありませんでしたか?
僕、シェアハウスをしていて、みんなに殺人鬼役をやる話したら、
「大丈夫なのか?」
「毎日家に殺人鬼が帰ってくることになるのか!それだけが心配だ!」
って言われて(笑)音楽だと、“曲に入り込んで抜けなくなっちゃう人”ってそんなに聞いたことなくて!曲ってあくまで自分から発しているものだからっていうのもあるのかもしれないんですけど、僕も「役に入り込んでしまったら….」って心配で、自分でいろいろ調べたり、いろんな人に「なんで役に入り込んじゃうのか」聞いたんです。
脳は自分が発している言葉を「思っていない言葉とは思わない」ようにできているらしいんです。例えば、よく言う「ネガティブな言葉ばかり口から吐いていると、体もどんどんネガティブになっていく。」「ポジティブな言葉をなるべく言った方が、脳も自分はポジティブと思い込む」と同じ原理で、両角のセリフを普通の話し言葉で発していくことで、脳が「自分は殺人鬼なんだ!」って錯覚しちゃうらしいんです。でも、僕は全然大丈夫でした。
それこそ、本屋で両角が山城にブチギレる緊迫としたシーンを撮ったんです。その撮影の合間に、レシピ本のあるコーナーにちょうど菅田くんと一緒に2人で立っていた時があって、「自分の好きな女の子とデートに行った時、この中にある本のどれを選んだらキュンとくるか」とか言って遊んでましたね。「俺これかな〜」とか言って、菅田くんはキャンプ飯の本、俺は無水料理の本を選んでいましたね(笑)
菅田:「え、fukaseさん無水料理とか好きなんですか〜?」
fukase:「そうなの〜あったかいもの好きだから〜」
とか言ったりして(笑)その後、また撮影が再開する時にはブチギレモードに変わるっていうのを繰り返してましたね(笑)つまり、切り替えはできていたから、家に帰ってもそんな(殺人鬼的な)気持ちになるってことは全然なかったんです。
劇中の両角を観ていて、首の動きの不気味さと子供っぽさが印象的でした。あの首の動きや子供っぽさなど、役づくりをしていく中でイメージ像はいたのかな?と疑問に思ったのですが、その点はいかがでしょうか?
首の動きは勝手に出てきたんですよね。正直、菅田くんと実際に対面して芝居するまであれは出てこなかったんですよ。菅田くん演じる山城圭吾と初めて対峙して、自分の中で決定的に足りなかった“山城圭吾”という存在が両角の中に入ってきた瞬間、両角が完成した感じがして、動きとともにあの首の動きが出てきたって感じです。
子供っぽいところでいうと、神木くんの「優しい殺人鬼」っていう言葉が、“神の啓示”のように頭の中に残っていたんですよね。メンバーの子供とかを見ていて、自分は役づくりをしていた部分もあったから。「邪悪だな」って感じたんです(笑)子供って欲望に忠実じゃないですか!
ー確かに!子供って正直ですよね!(笑)
そう、正直じゃないですか!「子供がこの無邪気さのまま大人になったら怖ぇ!」って思ったんです。メンバーのSaoriの子供に積み木でパーン!ってやられた瞬間とか、
「なるほどな!こういうことだな!こういう勢い大事だな!」
って思って、どういう時に機嫌が悪くなって、どんな時に笑ってどんな時に泣いてとか、参考にしてずっと見ていました(笑)子供って大人よりも感情の切り替えがすごく早いから、その点でも両角の参考にしましたね。
子供を見て役づくりの参考にしたって言ったら、この映画を見た人の世の中のお母さんが怒ると思うんですけど!(笑)参考にしました!(笑)
映画「キャラクター」ということで、みんなが知らなそうなFukaseさんのキャラクター性を教えてください!
意外なキャラクター性ですか?多分、僕は世間のイメージとは真逆な性格をしていると思うので、全てが意外だと思います。まず僕はアウトドア派ですし、それを僕は一切隠していないですし、僕は超喋るし、超!明るい人間なんです!みんながイメージで思っているものを全部反対にしてもらえると僕になると思います。
それでいうと、僕はSaoriのお母さんと朝9時に集合してバドミントンをやっています。僕個人でも、区が運営している体育館のバドミントン教室に、コロナ禍で入場の抽選があるので朝8時半から並んでいます。抽選が外れると帰らなきゃいけないんですけど、並んでます!
ーしっかり抽選して並んでいるんですか?!意外な一面ですね!
そうなんです!僕バドミントンをやるのが初めてなので、年上の女性たちに「グリップ握り方はこうだよ!」って教えてもらいながら、「はい!」って言ってやっています。なんなら僕、めちゃくちゃ挨拶デカイですよ!体育館に入る時の挨拶なんてめっちゃデカイから、もう元気丸出しですよ!
ー朝からめちゃめちゃ楽しそうですね!
めっちゃ楽しいし、メンバーの中で僕、一番明るいんじゃないかな!!!
(スタッフ一同爆笑)
Fukaseさんから見た両角はどんな風に映ったのか、また、本当に両角が存在したらどんな風に接してあげたいか教えてください。
両角はねぇ。。。もう一線を超えてからの両角にあったらもう無理ですよ!自首も進めない!「もういい!」って思う!もっと前に会っていたら違うなって思います。
僕の中で両角って、山城が初めてできた友達だと思っているし、山城と両角がもっと早く出会えていたら違ったんだろうなぁって。一線を超える前の両角に会っていたら俺は言えることもいっぱいあったし、「俺の家でしているシェアハウスにお前も来るか?」って言っていたと思います。
Fukaseさん自身、両角と似ているなと感じた部分はありますか?
映画を観たいろんな人が僕のことを、「両角はFukaseの地の性格なんじゃないか」って言っているのを聞きますけど、違います!!!
僕と両角は全く違う人間だと思ってもらって構わないです!僕めっちゃ優しいですからね!メンバーの子供とか水族館とか連れて行きますからね!
ーえ!!!優しいっ!!!
本当は自分で自分のこと優しいなんて言っちゃいけないんですよ(笑)みんながそうやって「殺人鬼が似合っている」とか「両角はFukaseの地の性格だ」とか言っているから、僕が自分で「自分は優しい」とか言わなきゃいけない、最悪な結末を迎えているんですよ(笑)
(スタッフ一同爆笑)
でも、“作品づくりに対する執着心”は両角と似ているなって思います。自己犠牲があるのがわかってやっているというか。「自分が体を壊して命削ってでも、何か作らなきゃいけない」って思う瞬間は僕自身もあるので、“その作品に対する執着心”っていうのは似ていると思いますね。
Nomdeplumeは10代向けの媒体ということで、Fukaseさんの10代の頃はどんな子だったのか、そして今の10代達へ伝えたいことを教えてください。
ー自身が振り返る、Fukaseの10代についてー
僕の10代は、正直いろんな時期があるので。。。いろいろありましたけど、基本的には下町のチンピラでしたね。下町のチンピラで、チンピラって意外と甘いもの好きだから「今日もパフェ行っちゃう〜!?」とか言って、男同士で500円出し合ってみんなでデッカいパフェ食べたりとかしてましたね!
僕はいわゆる輩(ヤカラ)だったんですけど、「何かを一生懸命やりたい」って気持ちはずっと自分の中にあったんです。僕、部活とかも入っていなかったら、その時は間違って輩(ヤカラ)を一生懸命やっちゃたんですよね(笑)だから全然ダメで、学校も退学になっちゃうし。でも、その10代で今のSEKAI NO OWARIのメンバーに出会って、あの人たち真面目だから、僕が何かやりたいっていうことにも、ものすごく一生懸命ついてきてくれて、本当にいいヤツに出会えたなって思います。「俺は何かを一生懸命やりたかったんだ」って思っていたのが、僕の10代でしたね。
ーFukaseが伝えたい、10代達へのメッセージー
「大人って10代に『社会はそんなに甘くない』って言いすぎじゃね?」
そう僕は思っているんですよ。めちゃくちゃ脅すから、社会に出ることを10代のみんなは怖がったりするし、「そんな脅かし方って無いんじゃないか」って思うんです。「社会じゃ通用しないからな!」って事実を言って脅かさなくても、それはみんな自分で勝手に学んでいくことなんです。
要するに、脅してくる大人がいるならば、俺は“脅さない大人”として、
「そういう脅かす大人がいっぱいいる中でも、逆に社会なんか楽勝だよ!」
って伝えたい。俺は、10代の頃が一番キツかったし、頑張れないことも一番辛かった。頑張れることって、頑張れないことよりもすごく健康的だから、くすぶっていて頑張れていない奴らがいるとしたら、
「社会はそんなに怖いもんじゃないし、どこよりずっともっと自由で、自分が行きたいところ、自分が選択することにもちろん責任が伴うが、そんなに恐れるものではない」
って言いたいですね。
ーありがとうございます。今までで一番響く言葉でした…!!
ほんとですか!(笑)ありがとうございます(笑)
ーありがとうございました!
作品情報
◇映画『キャラクター』
大ヒット上映中
キャスト:
菅田将暉 Fukase(SEKAI NO OWARI)
高畑充希 中村獅童 小栗旬
原案:長崎尚志
脚本:長崎尚志 川原杏奈 永井聡
音楽:小島裕規 “Yaffle”
監督:永井聡
配給:東宝
(C)2021映画「キャラクター」製作委員会
フォトグラファー:宮本茉里奈 インタビュー・文:竹井裕香